電子委任状の普及の促進に関する法律
平成二十九年法律第六十四号
第一条
(目的)
この法律は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により契約に関する書類の作成、保存等の業務を行う事業者の増加、情報通信ネットワークを通じて伝達される情報の安全性及び信頼性の確保に関する技術の向上その他の電子契約を取り巻く環境の変化の中で、電子委任状の信頼性が確保されることが電子契約における課題となっていることに鑑み、電子委任状の普及を促進するための基本的な指針について定めるとともに、電子委任状取扱業務の認定の制度を設けること等により、電子契約の推進を通じて電子商取引その他の高度情報通信ネットワークを利用した経済活動の促進を図ることを目的とする。
第二条
(定義)
この法律において「電子委任状」とは、電子契約の一方の当事者となる事業者(法人にあっては、その代表者。第四項第一号において同じ。)が当該事業者の使用人その他の関係者に代理権を与えた旨(第三項において「代理権授与」という。)を表示する電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。次項及び第三項において同じ。)をいう。
2 この法律において「電子契約」とは、事業者が一方の当事者となる契約であって、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により契約書に代わる電磁的記録が作成されるものをいう。
3 この法律において「電子委任状取扱業務」とは、代理権授与を表示する目的で、電子契約の一方の当事者となる事業者の委託を受けて、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、電子委任状を保管し、当該電子契約の他方の当事者となる者又はその使用人その他の関係者に対し、当該電子委任状(当該事業者が法人である場合にあっては、委任者として記録された当該法人の代表者が当該法人の代表権を有していることを確認している旨を表示する電磁的記録(第十一条第一項において「代表権の確認に関する電磁的記録」という。)を含む。)を提示し、又は提出する業務をいう。
4 この法律において「特定電子委任状」とは、次の各号のいずれにも該当する電子委任状をいう。 一 電子委任状に記録された情報について次に掲げる措置が行われているものであること。 二 電子委任状に記録された情報が次条第一項に規定する基本指針において定められた同条第二項第三号に規定する記録方法の標準に適合する方法で記録されているものであること。
第三条
(基本指針)
主務大臣は、電子委任状の普及を促進するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。
2 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一 電子委任状の普及の意義及び目標に関する事項 二 電子契約の当事者その他の関係者の電子委任状に関する理解を深めるための施策に関する基本的な事項 三 電子委任状に記録される情報の記録方法の標準その他電子委任状の信頼性の確保及び利便性の向上のための施策に関する基本的な事項 四 電子委任状取扱業務を営み、又は営もうとする者の電子委任状取扱業務の実施の方法について第五条第一項の認定の基準となるべき事項 五 その他電子委任状の普及を促進するために必要な事項
3 主務大臣は、基本指針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 主務大臣は、基本指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第四条
(国等の責務)
国は、広報活動等を通じて、電子契約の当事者その他の関係者の電子委任状に関する理解を深めるよう努めなければならない。
2 国は、電子契約及び電子委任状に関する内外の動向の調査及び分析を行い、電子契約の当事者その他の関係者に対して当該調査により得られた情報及び当該分析の結果を提供するよう努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、自らが一方の当事者となる電子契約において他方の当事者となる事業者の電子委任状の利用を促進するために必要な施策の推進に努めなければならない。
4 国は、地方公共団体が実施する前項の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第五条
(電子委任状取扱業務の認定)
電子委任状取扱業務を営み、又は営もうとする者は、主務大臣の認定を受けることができる。
2 前項の認定を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書その他主務省令で定める書類を主務大臣に提出しなければならない。 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名 二 申請に係る電子委任状取扱業務の範囲及びその実施の方法 三 申請に係る電子委任状取扱業務を実施するに当たり、次のイからヘまでに掲げる場合に該当する場合には、それぞれイからヘまでに定める事項
3 主務大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、その申請に係る電子委任状取扱業務が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、その認定をするものとする。 一 その取り扱う電子委任状が専ら特定電子委任状であること。 二 その実施の方法が基本指針において定められた第三条第二項第四号に掲げる事項に適合していること。
4 次の各号のいずれかに該当する者は、第一項の認定を受けることができない。 一 この法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者 二 第十二条第一項の規定により第一項の認定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者 三 法人又は団体であって、その業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの 四 申請に係る電子委任状取扱業務を実施するに当たり、電気通信事業法第九条の登録又は同法第十三条第一項の変更登録を受けなければならない場合において、同法第十二条第一項各号のいずれかに該当する者
5 主務大臣は、第一項の認定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
第六条
(認定の更新)
前条第一項の認定は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
2 前条第二項(第三号を除く。)、第三項及び第四項(第二号及び第四号を除く。)の規定は、前項の認定の更新について準用する。
3 主務大臣は、第一項の規定により前条第一項の認定がその効力を失ったときは、その旨を公示しなければならない。
第七条
(承継)
第五条第一項の認定を受けた者(以下「認定電子委任状取扱事業者」という。)が当該認定に係る電子委任状取扱業務を行う事業の全部を譲渡し、又は認定電子委任状取扱事業者について相続、合併若しくは分割(当該認定に係る電子委任状取扱業務を行う事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、その事業の全部を譲り受けた者又は相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この項において同じ。)、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割によりその事業の全部を承継した法人は、その認定電子委任状取扱事業者の地位を承継する。ただし、当該事業の全部を譲り受けた者又は相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは分割により当該事業の全部を承継した法人が同条第四項第一号から第三号までのいずれかに該当するときは、この限りでない。
2 前項の規定により認定電子委任状取扱事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
3 主務大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
第八条
(変更の認定等)
認定電子委任状取扱事業者は、第五条第二項第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、主務大臣の認定を受けなければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 第五条第二項(第三号ニを除く。)、第三項及び第四項(第二号を除く。)の規定は、前項の変更の認定について準用する。この場合において、同条第二項中「次に掲げる事項」とあるのは、「次に掲げる事項(第二号に掲げる事項にあっては、変更に係るものに限る。)」と読み替えるものとする。
3 認定電子委任状取扱事業者は、第五条第二項第一号に掲げる事項に変更があったとき、又は第一項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
4 主務大臣は、第一項の変更の認定をしたとき、又は前項の規定による届出(第五条第二項第一号に掲げる事項の変更に係るものに限る。)があったときは、その旨を公示しなければならない。
第九条
(廃止の届出)
認定電子委任状取扱事業者は、その認定に係る電子委任状取扱業務を廃止しようとするときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
2 主務大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
第十条
(電気通信事業法の特例)
電子委任状取扱業務を営み、又は営もうとする者が、第五条第一項の認定を受けた場合において、当該認定に係る電子委任状取扱業務を実施するに当たり、電気通信事業法第九条の登録若しくは同法第十三条第一項の変更登録を受け、又は同条第五項若しくは同法第十六条第一項、第三項若しくは第四項のいずれかの届出をしなければならないときは、当該者は、当該登録若しくは当該変更登録を受け、又は当該届出をしたものとみなす。
2 認定電子委任状取扱事業者が、第八条第一項の変更の認定を受けた場合において、当該変更の認定に係る電子委任状取扱業務を実施するに当たり、電気通信事業法第九条の登録若しくは同法第十三条第一項の変更登録を受け、又は同条第五項若しくは同法第十六条第三項若しくは第四項の届出をしなければならないときは、当該認定電子委任状取扱事業者は、当該登録若しくは当該変更登録を受け、又は当該届出をしたものとみなす。
第十一条
(表示)
認定電子委任状取扱事業者は、その認定に係る電子委任状取扱業務の用に供する特定電磁的記録等(代表権の確認に関する電磁的記録その他の電子委任状取扱業務の用に供するものとして主務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)に、主務省令で定めるところにより、当該認定に係る電子委任状取扱業務が第五条第一項の認定を受けている旨の表示を付することができる。
2 何人も、前項の規定による場合を除くほか、特定電磁的記録等に、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
第十二条
(認定の取消し)
主務大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、第五条第一項の認定を取り消すことができる。 一 第五条第一項の認定に係る電子委任状取扱業務が同条第三項各号のいずれかに該当しなくなったとき。 二 認定電子委任状取扱事業者が第五条第四項第一号から第三号までのいずれかに該当するに至ったとき。 三 認定電子委任状取扱事業者が第八条第一項の規定に違反して、第五条第二項第二号に掲げる事項を変更したとき。 四 認定電子委任状取扱事業者が前条第二項の規定に違反したとき。 五 認定電子委任状取扱事業者が不正の手段により第五条第一項の認定、第六条第一項の認定の更新又は第八条第一項の変更の認定を受けたとき。
2 主務大臣は、前項の規定により第五条第一項の認定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第十三条
(報告徴収及び立入検査)
主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定電子委任状取扱事業者に対し、その認定に係る電子委任状取扱業務に関し報告をさせ、又はその職員に、認定電子委任状取扱事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、その認定に係る電子委任状取扱業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第十四条
(主務省令への委任)
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、主務省令で定める。
第十五条
(主務大臣等)
この法律における主務大臣は、内閣総理大臣とする。ただし、第五条第一項の認定及び第八条第一項の変更の認定に関する事項については、内閣総理大臣及び総務大臣とする。
2 この法律における主務省令は、主務大臣が発する命令とする。
第十六条
第十一条第二項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
第十七条
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。 一 第八条第一項の規定に違反して、第五条第二項第二号に掲げる事項を変更した者 二 第十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
第十八条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
第十九条
第七条第二項、第八条第三項又は第九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。
第一条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条及び附則第三条の規定は、公布の日から施行する。
第二条
(準備行為)
主務大臣は、この法律の施行前においても、第三条の規定の例により、基本指針を定めることができる。
2 前項の規定により定められた基本指針は、この法律の施行の日において第三条の規定により定められたものとみなす。
第三条
(政令への委任)
前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
第四条
(検討)
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
第一条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
第一条
(施行期日)
この法律は、令和三年九月一日から施行する。ただし、附則第六十条の規定は、公布の日から施行する。
第五十七条
(処分等に関する経過措置)
この法律の施行前にこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条及び次条において「旧法令」という。)の規定により従前の国の機関がした認定等の処分その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、この法律による改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条及び次条において「新法令」という。)の相当規定により相当の国の機関がした認定等の処分その他の行為とみなす。
2 この法律の施行の際現に旧法令の規定により従前の国の機関に対してされている申請、届出その他の行為は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、新法令の相当規定により相当の国の機関に対してされた申請、届出その他の行為とみなす。
3 この法律の施行前に旧法令の規定により従前の国の機関に対して申請、届出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前に従前の国の機関に対してその手続がされていないものについては、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、これを、新法令の相当規定により相当の国の機関に対してその手続がされていないものとみなして、新法令の規定を適用する。
第五十八条
(命令の効力に関する経過措置)
旧法令の規定により発せられた内閣府設置法第七条第三項の内閣府令又は国家行政組織法第十二条第一項の省令は、法令に別段の定めがあるもののほか、この法律の施行後は、新法令の相当規定に基づいて発せられた相当の第七条第三項のデジタル庁令又は国家行政組織法第十二条第一項の省令としての効力を有するものとする。
第五十九条
(罰則の適用に関する経過措置)
この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第六十条
(政令への委任)
附則第十五条、第十六条、第五十一条及び前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
第一条
(施行期日)
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。